技術資料  一般編  保護等級 IPコード

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■IP説明
IEC規格 60529:2001 Degrees of protection provided by enclosures ( IP Code)を翻訳した
JIS規格 JIS C 0920:2003 にて規定された 外来固形物浸入や水の浸入に対する保護等級を下に示します。

JIS C 0920 :2003   電気機械器具の外郭による保護等級(IPコード)

■IP表示
                       IP (第一特性数字) (第二特性数字)

第一特性数字説明

外来固形物に対する保護  保護等級

第一特性数字

要約

定義

0 無保護

1 直径50mm以上の大きさの外来固形物に対して保護している。 直径50mmの球状の、固形物プローブの全体が浸入してはならない。
2 直径12.5mm以上の大きさの外来固形物に対して保護している。 直径12.5mmの球状の、固形物プローブの全体が浸入してはならない。
3 直径2.5mm以上の大きさの外来固形物に対して保護している。 直径2.5mmの固形物プローブが全く浸入してはならない。
4 直径1.0mm以上の大きさの外来固形物に対して保護している。 直径1.0mmの固形物プローブが全く浸入してはならない。
5 防じん形 じんあいの浸入を完全に防止することはできないが、電気機器の所定の動作及び安全性を阻害する量のじんあいの浸入があってはならない。
6 耐じん形 じんあいの浸入があってはならない。


 

第二特性数字説明

水に対する保護 保護等級

第二特性数字

要約

定義

0 無保護

1 鉛直に落下する水滴に対して保護する。 鉛直に落下する水滴によって有害な影響を及ぼしてはならない。
2 15度以内で傾斜しても鉛直に落下する水滴に対して保護する。 外郭が鉛直に対して両側に15度以内で傾斜したとき、鉛直に落下する水滴によっても有害な影響を及ぼしてはならない。
3 散水(spraying water)に対して保護する。 鉛直から 両側に60度までの角度で噴霧した水によっても有害な影響を及ぼしてはならない。
4 水の飛まつ(splashing water)に対して保護する。 あらゆる方向からの水の飛まつによっても有害な影響を及ぼしてはならない。
5 噴流(water jet)に対して保護する。 あらゆる方向からのノズルによる噴流水によっても有害な影響を及ぼしてはならない。
6 暴噴流(powerfull jet)に対して保護する。 あらゆる方向からのノズルによる強力なジェット噴流水によっても有害な影響を及ぼしてはならない。
7 水に浸しても影響がないように保護する。 規定の圧力及び時間で外郭を一時的に水中に沈めたとき、有害な影響を生じる量の水の浸入があってはならない。
8 潜水状態での使用に対して保護する。 関係者間で取り決めた数字7より厳しい条件下で外郭を継続的に水中に沈めたとき、有害な影響を生じる量の水の浸入があってはならない。

上の表は JIS C 0920:2003 を抜粋した内容ですので、詳細は JIS 規格を参照ください。


試験の一般的要求事項
水及びじんあいに対する試験時の大気の状態
試験中の大気の状態

温度範囲 : 15 〜 35 ℃

相対湿度 : 25 〜 75 %  (RH)

大気圧  : 86 〜 106 kPa


弊社の IP コードに対する解釈

弊社取り扱いの機器で IP 表示されたものであっても、試験の一般的要求事項 試験中の大気の状態
以外の周囲環境で使用された場合及び*熱サイクリング効果による気圧の差*が発生した場合は
表示された保護等級に該当するものではなく、また製品を保証するものではありません。


JIS C 0920:2003 の要求事項は特定の設備下で特定の条件での試験結果であるために
自然条件下(屋外自然環境、屋内特定環境)での使用に対して、製品の保証をするものではありません。
試験の一般的要求事項の環境を見ると、温度範囲 15〜35℃、相対湿度 25〜75% は
屋外自然環境をすべて網羅しているものでは無く、一般的な屋外自然環境のほうが厳しいと云えます。

JIS C 0920:2003 規格内でも、次に示すような周囲環境条件下での使用については、各個別製品規格で
規定する事項であるとして、規格に含めないことを明示している。
−機械的衝撃 −腐食 −腐食性溶剤 −かび −昆虫 −日射 −氷結 −水滴 −爆発性雰囲気


弊社取り扱いの機器で外来固形物の浸入又は水の浸入が発生した場合でも、有害な影響を生じない
場合は機器に不具合があるとは定義していません。
第二特性数字  7  8  のみ、水の浸入があってはならない。と定義されており、6 以下は水の浸入を
否定しているわけでは無く、弊社では水の浸入があり得ると解釈しています。
一般的要求事項の環境である温度範囲 15〜35℃、相対湿度 25〜75% を超えて水の侵入が発生した場合
機器に不具合が生じたとしても、環境を超えての使用であり、起こりえる現象と解釈しています。


弊社取り扱いの機器で水の浸入が発生した場合もしくは、温度、相対湿度、気圧の変化により
外郭内外面もしくはガラス内面に結露もしくは水滴が付着した場合でも機器に対して有害な影響を
生じない場合は機器に不具合があるとは定義していません。
特に使用周囲環境が低温、多湿の場合は試験中の大気の状態と大きく条件が異なるために
外郭と外気との間に気圧の差が発生するなどして水の侵入が発生しやすくなります。
保護等級表示は、このような環境条件を想定したものではなく、製品を保証するものではありません。


第二特性数字  7  8  は該当条件内で水中に沈めたときに水の浸入がない場合ですが、噴流水
に対する保護等級を有する事は意味せず、噴流、水没に耐える保護等級をクリアするには
IP66/IP67 のように並記した表記となり、両方の試験をおこないクリアする必要があります。
このような並記された定義は「多用途形」とされ、一方の定義は「限定用途形」とされます。


弊社取り扱いの機器で、海外の防滴構造規格を表示し、カッッコ( )内にIP##相当と表示 しているものがあります。
この場合の機器について IP 成績書、合格証などの書類はありません。
また、海外の保護等級規格は上に示した試験仕様、内容、定義とは異なる内容があります。


弊社取り扱いの機器で、上の表と同等試験をおこなってクリアしていると製造元が判断したものについて
 IP## レベルと表示 しているものがあります。
この場合の機器について IP 成績書、合格証などの書類はありません。


JIS C 0920:2003  解説 4.3 屋外形について
個別製品規格において、”屋外形”と規程してある機器の保護等級については、その個別製品規格に規定
されているものであり、この規格では規定していない。

防滴形 防雨形 防噴流形 防浸形 屋外形 屋内形 などの用語は JIS C 0920:2003 では用いていません。


*熱サイクリング効果による気圧の差* とは
外郭と外気との間に温度差があった場合に圧力差が生じることを云います。
例えば、外気が30℃で外郭内部の温度が0℃になった場合は、外気の圧力 101.3kPa(abs) 大気圧とすると
外郭内部の圧力は 91.3kPa(abs) となり負圧となります。101.3-91.3=10 kPa の差圧となりますので
圧力差により外郭外部より外郭内部に水の浸入あるいは”じんあい”の浸入が考えられます。


保護等級 JIS規格(日本工業規格)の種類 (参考)

JIS C 0920:2003  電気機械器具の外郭による保護等級(IPコード)
適用範囲:
この規格は、定格電圧が 72.5kV 以下の電気機器の外郭による保護等級の分類について規定する。
事務局:(原案作成協力者)
財団法人 日本電機工業会
経済産業省管轄


JIS F  8007:2004 船用電気機器−外被の保護等級及び検査通則
適用範囲:
この規格は、船に使用する電気機器に対する設計、製造要件として必要な外被の保護等級の分類及び関連する試験・検査方法について規定する。
事務局:(原案作成協力者)
財団法人 日本船舶標準協会
国土交通省管轄


JIS C 4034:1999 回転電気機械 第5部:外被構造による保護方式の分類
適用範囲:
事務局:(原案作成協力者)
社団法人 電気学会


JIS 規格でも適用範囲及び事務局(原案作成)及び管轄する国の機関が異なるので注意が必要です。



 

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