１．蒸気用 面積流量計の口径選定方法　「蒸気-AIR 換算方法」

飽和蒸気　仕様圧力または仕様温度、最大流量が決まっている場合

面積流量計のカタログに蒸気流量の測定範囲が記載していない場合で
蒸気測定が可能な型式では「気体」のAIRの測定範囲を参考にして
口径を選定することができます。

例として上の、E-MCF-21 の気体（AIR）測定範囲表は AIR の圧力が 1atm 温度20℃の操業状態の
流量を、圧力 1atm  温度0℃の基準状態の体積流量m³/h（ntp）で記載しています。
この場合の操業状態の AIR 密度は　1.205 kg/m³(op) ですが、この密度を蒸気の密度で考える
と圧力が 115kPa(G) の飽和蒸気の密度に相当します。
つまり、上の測定範囲表は飽和蒸気の圧力が 115kPa(G) の操業状態の体積流量と
考えることができます。
蒸気の流量は質量流量 kg/h で表すことが多いので、体積に密度を乗じて質量に換算します。
上の表の口径 50A の測定範囲（最大値）は 100 〜 400 ですので、密度 1.205 kg/m³(op)
を乗じると、120 〜 480 kg/h  となります。
これは操業状態の圧力が 115kPa(G) の飽和蒸気の測定範囲（最大値）と考えることができます。
操業状態の圧力がそれ以外では密度を換算して「乗数」を掛けることによって求めます。
150kPa(G) の場合の乗数 1.1
200kPa(G) の場合の乗数 1.2
250kPa(G) の場合の乗数 1.3
300kPa(G) の場合の乗数 1.35
350kPa(G) の場合の乗数 1.45
400kPa(G) の場合の乗数 1.5
450kPa(G) の場合の乗数 1.6
500kPa(G) の場合の乗数 1.65
550kPa(G) の場合の乗数 1.7
600kPa(G) の場合の乗数 1.8
650kPa(G) の場合の乗数 1.85
700kPa(G) の場合の乗数 1.9
750kPa(G) の場合の乗数 1.95
800kPa(G) の場合の乗数 2.0
850kPa(G) の場合の乗数 2.1
の乗数を 120 〜 480 kg/h に掛けた数値が測定範囲（最大値）になります。

なお、カタログに気体の測定範囲表が記載されている場合でも、その型式が
蒸気の測定が可能か確認したうえで「蒸気-AIR換算方法」をおこなってください。
また蒸気では温度が100℃以上ですので流量計構造、付属機構、電気発信など
を選択する場合に温度を考慮する必要がありますのでご注意ください。
 


２．蒸気用 面積流量計の口径選定方法（質量流量単位）

飽和蒸気　仕様圧力または仕様温度、最大流量が決まっている場合

面積流量計のカタログ流量表には「口径−H2O流量」が記載されています。
蒸気用流量計では蒸気密度、最大流量よりH2O相当流量に換算して
カタログ流量表より口径を選定します。
下記換算を行います。

カタログに「飽和蒸気」、「過熱蒸気」の「圧力別」、「温度別」の流量表を掲載するには
膨大なページ数を必要としますので「口径−H2O流量」の流量表を利用して
蒸気密度とH2O密度の密度換算をして口径選定をする方法としています。
また、蒸気用面積流量計の校正はAIR又はH2Oを用いて密度換算をして行います。

基本換算式
Ｗ(H2O)	H2Oの換算流量	ｍ3／ｈ
Ｗ	仕様蒸気流量	kg／ｈ　（質量流量単位）
ρ	仕様蒸気の密度	ｋｇ／ｍ3

例１．　飽和蒸気、仕様圧力５００ｋＰａ（Ｇ）、最大流量７００ｋｇ／ｈの流量計の口径を選定します。
　　　　　
手順1-１．下記「飽和蒸気密度表」より蒸気密度を求めます。
　　　　　　 圧力５００ｋＰａ（Ｇ）では3.173kg/m³となります。
　　　　　　 基本換算式に数値を代入して

H2O換算流量11.8m³/hが得られました。
液体用流量計に比べて蒸気用流量計は圧力損失を小さくする必要があるために
計算上で得られたH2O換算流量値に「蒸気係数＝１．３」を乗じます。

蒸気換算流量Ｗ（Ｋ） １５．３ ｍ³／ｈが得られました。

手順1-２．選定する型式の流量表より該当する口径を選定します。
　　　　　　　　　　


上記の場合ですと、最大流量２０m3/hの５０Ａが選定されます。
口径５０Ａで流量目盛７〜７００ｋｇ／ｈとなります。

※上記流量表は一例であり、口径に対する製作可能流量範囲は流量計型式により異なります。
　 御使用になる流量計型式の最新版カタログ流量表をご覧ください。
※選定しようとする型式が蒸気対応であるか、よく確認してください。
　 H2O流量表が記載されていても全てが蒸気対応とは限りません。
※上では飽和蒸気を例としましたが過熱蒸気でも計算は同じです
　　過熱蒸気の密度は温度、圧力の要因の仕様で膨大な資料となるために
　　ここでは掲載しておりません。
　 過熱蒸気の密度は別途蒸気表より求めることができます。


３．蒸気用 面積流量計の口径選定方法（体積流量単位）

飽和蒸気　仕様圧力または仕様温度、最大流量が決まっている場合

基本換算式
Ｗ(H2O)	H2Oの換算流量	ｍ3／ｈ
Ｑ	仕様蒸気流量	m3／ｈ　（体積流量単位）
ρ	仕様蒸気の密度	ｋｇ／m3

例２．　飽和蒸気、仕様圧力５００ｋＰａ（Ｇ）、最大流量２２０m³／ｈの流量計の口径を選定します。

手順２−１．下記「飽和蒸気密度表」より蒸気密度を求めます。
　　　　　　 圧力５００ｋＰａ（Ｇ）では3.173kg/m³となります。
　　　　　　 基本換算式に数値を代入して

H2O換算流量11.8m³/hが得られました。
液体用流量計に比べて蒸気用流量計は圧力損失を小さくする必要があるために
計算上で得られたH2O換算流量値に「蒸気係数＝１．３」を乗じます。

蒸気換算流量Ｗ（Ｋ） １５．３ ｍ³／ｈが得られました。

手順２−２．選定する型式の流量表より該当する口径を選定します。
　　　　　　　　　　


上記の場合ですと、最大流量２０m³/hの５０Ａが選定されます。
口径５０Ａで流量目盛２２〜２２０m³/hとなります。

※上記流量表は一例であり、口径に対する製作可能流量範囲は流量計型式
　 により異なります、御使用になる流量計型式の最新版カタログ流量表をご覧ください。
※選定しようとする型式が蒸気対応であるか、よく確認してください。
　 H2O流量表が記載されていても全てが蒸気対応とは限りません。
※上では飽和蒸気を例としましたが過熱蒸気でも計算は同じです
　 過熱蒸気の密度は温度、圧力の要因の仕様で膨大な資料となるために
　 ここでは掲載しておりません。
　 過熱蒸気の密度は別途蒸気表より求めることができます。

飽和蒸気の密度表