技術資料 面積流量計編 8

8.流量調整弁付き流量計の選定(ニードルバルブの選定)               戻る

面積流量計でニードルバルブ(流量調節弁)付の場合に
VALVEが2次側(上)に付いている形式と1次側(下)
に付いている形式がありますが選択する基準は以下になります。


弊社のニードルバルブ(流量調節弁)付流量計 型式: PGH   GPA   GPB   GPC 
などがあります。                  

PGH  バルブ2次側

PGH   バルブ1次側

型式:PGH  <VALVE 2次側>

型式:PGH  <VALVE 1次側>

    
 


    PGHを例にすると

         VALVE 2次側形式を選定する基準は (バルブを上に取り付けた場合)

    [気体の場合]
    気体圧力が加圧状態の場合はこの形式を選定します。
    そして流量計設定圧力(流量計目盛設定圧力)は1次圧力とします。
    
    2次側が負圧の場合はこの形式を用います。
    流量計目盛設定圧力を大気圧(0MPaG=1atm)で製作し、2次側のバルブ
    で制御します。流量計内部は常に大気圧になり、2次側のバルブ
    で制御することによりフロート上部に背圧を与えることによりフロートが安定します。
    流量計内部を負圧にしてしまうとフロートが不安定になりハンチングが発生します。

    [液体の場合]
    原則としてこの形式を選定します、2次側にVALVEがあることで
    2次側配管の負荷変動の影響を受けにくいためFLOATが安定します。

上の図の例:1次側圧力20kPa(G)の場合は流量計目盛設定圧力は20kPa(G)です。VALVE以降の圧力は2次側負荷によって変化しますが、流量計目盛設定圧力には影響しないので流量誤差は発生しません。
ただし、1次側圧力20kPa(G)はVALVE開度に見合った供給流量がないとVALVEを開いたときに1次側圧力が下がる場合があり、このときは流量誤差が発生します。



上バルブ例:1



上バルブ例:2




上バルブ例:3 (製作不可)



流量計目盛設定圧力を真空(負圧)での製作はおこないません。

真空、負圧 目盛は製作しません。


 



    VALVE1次側タイプを選定する基準は(バルブを下に取り付けた場合)

    [気体の場合]
    気体2次圧力が大気圧(0MPaG=1atm)状態の場合はこの形式が選定できます。
    そして流量計設定圧力(流量計目盛設定圧力)は1atmとします。
    ただし、2次圧力が変動する場合はフロート2次側に背圧が加わらないために
    フロートが不安定になりますので、このような場合は2次側VALVE付きを
    使用するとフロートが安定します。

    バルブ1次側付きの場合はバルブのCV値より、差圧に対する流量計算をおこない
    流量計の圧損を考慮して1次圧力を算出して、流量計の最大流量が流れる1次圧力
    以上でご使用ください。1圧力がこの算出した圧力より低い場合はバルブを全開
    にしても最大流量が流れない(フロートが上がらない)ことになります。

    型式:PGH の場合の流量計単体の圧力損失は約2kPa、バルブのCV値は約0.2です。

         この形式で2次側加圧で使用するとVALVEで流量調節するたびに
    2次側の圧力が変化してしまい目盛設定圧力と異なってしまうために
    常に圧力を補正しなければならず現実的な使用ができません。

    この形式で流量計設定圧力を加圧で製作したものは、実際の使用
    で流量計目盛設定圧力で使用していないために、常に誤差を含んだ
    流量読み取りとなっている場合が多いのが実情です。

         この形式で2次側を加圧仕様で製作したとしても、現実的な使用は不可能
    ですので、2次側が加圧仕様での製作はおこないません。

    
    [液体の場合]
    2次側の圧力が安定しない、負荷変動がある場合にこの形式を選定
    するとFLOATが不安定になる場合がありますのでお薦めしません。

    結論として、気体でも液体でもバルブ1次側を選定する必要はありません。
    2次側付きタイプを選定しておけば万能と云えます。
  
 


上の図の例:2次側圧力を1atm(大気圧)で使用する場合は、1次側圧力20kPa(G)の場合でも流量計目盛設定圧力は1atmです。VALVE以降の圧力は2次側負荷によって変化しますので2次側に負荷があってはいけません。2次側に負荷があると 流量計内部が加圧状態となり流量誤差が発生します。 また2次側の負荷の影響でフロートが不安定だったりハンチングが発生する場合があります。

1次側圧力20kPa(G)は変化してもかまいませんし、1次側圧力が不明でもかまいません。
2次側に負荷がなければVALVE以降は常に1atmですので1次側圧力変化に関係なく
流量誤差にはなりません。VALVEを全開にして最大目盛値の流量を流すためには、1次側圧力がそれなりに
必要になります。
最大流量を流すのに必要な1次側圧力が確保できない場合はVALVEを全開にしても
フロートが最大目盛値に上がらない場合がありますので、1次側圧力は充分な圧力を確保してください。
 



下バルブ例:1




下バルブ例:2 (製作不可)




下バルブ例:3 (製作不可)

 

なお注意して頂きたいことは、付属のVALVEは流量調節を目的にしていますので
配管流れ閉止の目的で締め切りするとVALVE先端部品を破損してしまうことが
ありますので、締め切っての使用はなさらないでください。
締め切りを頻繁にする必要がある配管の場合は別途閉止弁(STOP VALVE)を設置してください。




ニードルバルブ付き流量計に付属のバルブ仕様につきまして


弊社のパージメータ  PGH   GPA   GPB   GPC   等に付属するバルブは差圧 50kPa で設計してあります。

これは各型式のカタログに記載した最大流量を確保するのに、差圧の設定が必要になるからです。

ご承知のように差圧が大きくなれば流れる流量は大きくなり、差圧が小さければ流れる流量は小さくなります。

差圧が2倍になると流量は1.414倍になり、差圧が50%になると流量は70.7%になります。

流量は差圧の平方根(ルート)に比例します。

各型式において液体、気体のカタログ記載の流量範囲を決めるには差圧の設定が必要になります。

このあらかじめ設定した差圧が 50kPa になります。

つまり、カタログの最大流量を流すには最低 50kPa の差圧があれば良いとも云えます。

差圧が小さい場合は、バルブを全開にしてもカタログの流量が流れない場合もありますのでご注意ください。

入口側圧力と出口側圧力の差圧が50kPa未満の場合は、製作につきまして別途ご相談させていただく場合があります。

差圧が小さくてもカタログ記載の流量範囲の小さい流量レンジであれば製作の可能性がありますが

流量範囲が大きいレンジの流量の場合は製作できない場合がありますので

差圧が小さい場合の流量選定はあらかじめ弊社にお問い合わせください。

流量調整バルブが2次側(上側)に付く場合は流量計1次側の圧力とバルブ以降の2次側の圧力を指定していただく

必要があります、つまり差圧を指定していただくことになります。製作しようとして流量計の仕様が、この指定された差圧

で製作できるかの判断をすることになります。流量計を製作するに必要な差圧に対して、この指定された差圧が大きい

場合は製作可能となり、指定差圧が小さい場合は製作が不可能と判断します。

この、差圧の指定が無い場合は標準の50kPaの差圧での製作可否判断とさせていただきます。

差圧の指定が無い場合などに、流量計を設置したが、バルブ以降の圧力が大きい場合は差圧が小さくなりますので

バルブを全開にしたが、流量目盛の最大位置まで流れないことが発生する場合がありますので、ご注意ください。


差圧が小さい場合に最大流量まで流れない原因は、流量計+バルブの圧力損失が差圧より大きいからです。

なお、上記の型式のバルブはあらかじめカタログに記載した流量範囲用に設計してあるため

カタログに記載した流量範囲以外の仕様に合わせてのバルブの設計はおこなっておりませんのでご注意ください。


弊社のニードルバルブ(流量調節弁)付流量計 型式: PGH   GPA   GPB   GPC  はいわゆる、微差圧

には対応しておりませんのでご注意ください。





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